転職活動は、今後の生活を左右するとても大切な決断です。
この企業以外考えられないというほど気に入った場合を除き、複数の企業に応募するのが、一般的な転職活動だと言われています。
応募する企業数は、最も希望する1社のみで決定することが理想ですが、実際には複数の企業へ同時に応募し、その中から採用された企業へ転職となるのが現実です。
では、転職に成功した人はどのくらいの企業へ応募し、どのような応募方法をしたのでしょうか。
今回は転職活動をする上で、採用へ近づく応募方法と応募数の平均について、ご紹介致します。
1、転職成功者の平均応募企業数はバラつきがある
大手転職サイトでは、自社利用者が何社くらいの応募数で採用に至ったのか、応募企業の平均数を掲載しています。
各社転職サイトのデータを見ると、転職サイトや年齢、業種ごとに平均数にバラつきがあることが分かります。
まずはマイナビ転職サイトを見てみましょう。
同社利用者の2017年10月中旬から約1か月の平均応募企業数を上げており、平均応募企業数は「8.4社」です。
年齢別の平均応募企業についても掲載されており、採用までの平均応募企業数は20代前半で約6社、40代前半で約10社と年齢が上がるにつれ、増える傾向になっています。
次に転職サイトdodaでも平均応募企業数データを発表しています。
転職サイトdodaでは、2021年1月から1年間について調査しており、平均応募企業数は「19.4社」で、マイナビ比較すると多めです。
マイナビ転職とdodaのデータを比べますと、平均応募企業数には差がありますが、共通点が見えてきます。
どちらのサイトのデータも、約5割の人が平均応募企業数6社~10社となっており、総合的に考えて、10社までには、約半数の人が転職を成功させていると言えるでしょう。
2、内定を取るためには10社程度の応募が必要
晴れて採用となるまでには、書類選考、一次面接、二次面接といくつかの工程を踏まなければなりません。
工程ごとに応募者を選別が行われ、通過できるのは1つの工程につき、おおよそ3割から5割程度と言われています。
例えば、1つの求人に10人応募が来たと仮定しましょう。
10人のうち、書類選考を通過するのは3人~5人、面接まで行くのはさらに1人~2人という事になります。
上記の通過率を考えますと、転職活動で1社の内定を取るためには、8社~10社応募するのが妥当な数だと考えられるでしょう。
3、業種ごとに異なる平均応募数
転職活動全体の平均応募数についてご紹介してきましたが、続いて業種ごとの平均数の違いを見ていきましょう。
転職サイトdodaでは、業種別の平均応募社数を発表しています。
業種は、営業所、IT通信、事務・アシスタントなど全部で11種に分けて分析をしています。
医療専門職など一部の高度専門職を除き、最も平均応募数が少なかったのは、技術職(IT/通信)で、平均12.4社でした。
ちなみに上記にも掲載しましたが、同サイトの全職種応募企業数の総合平均は19.4社です。
同じく技術系の業種では、機械/電気、建築/土木、素材/化学/食品などがありますが、全体的に平均応募企業数は15社前後で、全体平均より少ない結果となっています。
専門的な技能を要する技術職は、転職先も決まりやすい傾向があるといえるでしょう。
技術職の中でも特に特徴的だったのが、IT/通信業種です。
約半数の転職者が応募企業1社で転職を決めており、IT/通信業種の専門性やニーズの高さが伺えます。
反対に、最も応募企業の平均が多かった業種についても、見てみましょう。
最も応募企業数が多かったのは、平均応募数28.5社の事務職・アシスタント業種でした。約半数以上が16社以上応募しており、狭き門であることが分かります。
次いで、平均応募企業数が多いのは営業職となっており、平均応募企業数は24社で、5割弱の人が16社以上応募しています。
事務職や営業職への転職を検討している場合は、ある程度の応募数をこなす必要があることを覚えておきましょう。
4、転職が成功する効果的な応募方法
転職活動は大きく分けて、企業情報を集めて自分の能力や経験を分析する「準備期間」と、実際に応募し書類選考や面接などを行う「実行期間」に分けられます。
転職活動では実際に行動に移す「実行期間」に焦点が当てられがちですが、「準備期間」はとても重要です。
企業リサーチや、自己分析をしっかりと行わないと、転職活動に時間がかかることに加え、転職先とのミスマッチが起こり、再度転職先を探すというリスクにもつながりかねません。
では、どのように準備を行い、応募へとつなげていくのか、準備期間、実行期間ごとのポイントをご紹介します。各期間のポイントをしっかりと抑え、転職活動を成功させましょう。
① 準備期間のポイント:応募企業を「中身」で絞る
転職は自分に合う会社に就職することを目的としています。
転職成功のカギを握るのは、徹底した企業研究と自己分析です。
自分が希望する企業の中から、企業がどのような人材を求めているのか、事業内容や方針、風土といった企業情報をはじめ、業界全体の経済状況と、自分の経歴や資格などを照らし合わせていきましょう。
照らし合わせた企業の中から、自分に合う企業を複数社に絞り応募します。
早く転職したいからとやみくもに応募しても、1社1社への対応がおろそかになり、かえって遠回りになるため、しっかりと応募先のリサーチと自己分析を行い、応募する企業を絞りましょう。
② 準備期間ポイント:経歴や職歴、面接対応に備えておく
続いて自己PRのための準備です。経歴や職歴などをまとめ、履歴書や職務経歴書の作成、面接対応に備えましょう。
転職活動の流れは、まず履歴書や職務経歴書などの書類を作成し、応募する企業へ送り、書類選考に通過した企業と面接を行い、無事に面接を通過すれば採用となります。
履歴書や職務経歴書はPCに作成し保存しておく、資格の証明書はまとめておくなど、日ごろから書類や面接時にしっかりと自分をPRできるように、準備しておきましょう。
転職活動で書類選考を通るのは、平均で応募した企業の3分の1ほどと言われているため、面接まで行くためには、3社~6社ほど書類を送付するのが望ましいです。
また企業によって求められる書類に違いがあり、場合によっては履歴書や職務経歴書が指定されることもあります。
柔軟に対応できるよう、いくつかのパターンを用意しておくことをおすすめします。
③ 実行期間のポイント:スケジュール管理
実際に企業に応募する実行期間に入ると、重要になってくるのがスケジュール管理です。
選考時には、ほとんどの企業で面接があります。
転職活動を急ぐあまり、多くの企業へ書類を送付してしまうと、思った以上に書類選考が通過し、面接のスケジュールが過密になってしまったという可能性も出てきます。
日程調整が上手くいかなければ、せっかく面接を断らざるを得ない状況になった、面接対応が出来ず上手く答えられなかったなど、せっかくのチャンスをつぶしてしまいかねません。
特に在職中の方は、仕事の兼ね合いに注意が必要です。
面接は昼間に行われることが多いため、現職をお休みして行くことになるでしょう。
自分が休みを取っている間、現職場へ迷惑が掛からないよう、仕事の調整や連絡をしっかりと行っておく必要があります。
④ 活動期限を定める
転職活動は1か月半~3か月で行う方が多いと言われています。
その中で、複数の企業へ応募し、同時進行しながら活動を行って行きます。
複数応募する理由は、時間のロスを防ぐためですが、不採用が続き転職活動が長引くと、起こりやすいのがモチベーションの低下です。
特に現職の方は、働きながら活動を行うため、健康管理も大切です。
面接では面接官の前でいろいろな事を聞かれため、緊張しますし、それが何社も続けば疲労も出てくるでしょう。
活動期限は、繁忙期が閑散期数カ月のみ行うなど、自分なりの活動期限を設け、その期間で決まらなければ、思い切ってしばらく活動をお休みするのも、転職活動を成功させる一つの方法です。
5、転職活動における注意点
続いて転職活動中全体における注意点について、ご紹介します。
① 優先順位を決めよう
自分が転職しようと思った「きっかけ」はなんでしょうか。
さまざまな企業を見ていくと、どの企業にも関心が行ってしまい、どの企業に重点を置いていいのか、見失いがちです。
複数ある応募企業の中で、自分の志望動機や経歴企業情報を見ながら、どの企業に重点を置いて対策を練るのか、しっかりと優先順位を決めましょう。
ただ活動をしていく中で、情報収集や実際に企業に赴き担当者と話をする、実際に企業の中を見ることより、優先順位が変わってくることもあります。
そのような場合は、一時的な感情に捕らわれていないか、自分が転職しようと思った志望動機を再度確認し、優先順位を柔軟に変えていきましょう。
② 自分にとって適正な活動方法を見つけよう
採用活動は多様化しつつありますが、一般的には書類選考ののち面接を数回行い、条件が合えば採用という流れです。
採用選考の流れの中で、書類選考、面接と段階的に振るい落としが行われるため、採用までの道のりは決して平坦ではありません。
そのため転職活動は、複数の企業に応募し、同時進行するというスタイルが一般的だと言われていますが、その方法が皆にとっての正解ではありません。
しっかり企業リサーチし、希望する企業に1社ずつ応募し、不採用なら次の企業へ応募するというように、ゆっくりと着実に活動を行うというスタイルもあります。
自分の体調や状況を見ながら、自分なりを方法で進めてきましょう。
③ 未経験業種や人気業種、同業種によっても応募数に違いがある
平均応募者数が業種によっても差がある事は、上記でご紹介してきました。
求人が少ない業種はなかなか採用にならないため、どうしても応募数が多くなります。
また異業種への転職も、応募数が多くなりやすいです。
これは、企業側が未経験者より経験者を優遇する傾向があるためです。
反対に同業種であれば、ある程度業務内容を把握しているため、面接でもスムーズに回答しやすく、転職しやすいので、転職先が決まりやすいと言えるでしょう。
自分が希望する転職先が、未経験業種や人気業種なのか、それとも同業種なのかによっても、応募数が違ってくることを覚えておいてください。
④ 冷却期間を設けよう
転職活動中に、募集が出ている企業を見ても、条件に合う企業が見当たらない、魅力を感じられる企業が無いという場合もあるでしょう。
今魅力的な求人が見つからなくても、1か月後には見つかるかもしれませんし、採用時期が限られている企業もあるでしょう。
求人状況は日々変動しています。
応募したいと感じる企業が見つからない場合は、思い切って一旦活動をお休みすることをオススメします。
⑤ 出来るだけ在職中に転職活動を行おう
在職中の転職活動は、スケジュール管理がネックになります。
面接は昼間に行われることが多く、社員であれば有給を取って面接に行くことになりますが、有給申請がしにくいという声も少なくありません。
ただ、在職中であれば、一定の収入があるというメリットがあります。
収入があれば今すぐ生活に困る訳ではないので、ある程度ゆとりを持って活動する事が可能になります。
在職中はお休みが取りにくいという理由から、退職後に失業保険を受給しつつ、ゆっくり活動したいと思われる方もいらっしゃいます。
ただし、失業保険給付の受給期間は有限ですし、健康保険や厚生年金、市県民税などの支払いもあるため、手元に残る金額は、在職時と比較するとかなり少なくなります。
収入面で不安があると、焦って転職先を決定し、後で後悔するという事にもなりかねませんので、やむをえない場合を除き、出来るだけ在職中に転職活動を行うようにしましょう。
まとめ
今回は、転職活動時の平均応募企業数と成功へ近づく応募方法についてご紹介しました。
転職活動は、選考ごとに振るい落としがあるため、一般的には複数の企業へ応募するのが、成功への近道です。
ただし、応募する業種や状況により、1社ずつゆっくりと活動を行うという方法が合っている方もいらっしゃいます。
転職成功には、しっかりとした事前準備とスケジュール管理がカギですが、応募数の決め方や進め方は人により向き不向きがあります。
転職活動を行う際には、自分にとってどの方法がベストなのか、この記事を参考にして見てください。