キャリアアップや転職時に備え、何か資格を取りたいと考える方もいらっしゃるのではないでしょうか。
資格を持っていると、昇級や資格手当など収入面だけはなく、転職活動をする上ではプラスになり、取得する資格によっては、独立開業も夢ではありません。
ひと口に資格といっても多くの種類があり、特に働きながらの資格取得は、勉強時間や費用を考慮する必要があります。
今回は将来性を踏まえ、資格の選び方のメリットやポイント、転職やキャリアアップに有利となる資格15選についてご紹介致します。
1 資格取得をするメリットは?
資格取得するメリットとしては、転職時に選択肢が広がる、資格を必須とする職業に就くことが出来る、キャリアアップや昇給というような、ダイレクトな影響があります。
資格を持っているということは、資格の分野に関する知識や技術があるという証明になり、同じ作業内容を行っていても資格の有無で、作業に対する信頼性も深くなるでしょう。
その他に、資格を取るという事は、ある程度まとまった期間努力を重ねた結果という証にもなり、勉強に費やした時間も評価の対象になります。
取得した資格から仕事の幅が広がる、関連する分野に興味が持てるようになる、応用分野にも挑戦したくなることや、自分に自信が付く事から、人脈作りにつながるなど、多くのメリットがあります。
2 資格取得を検討する時のポイント
世の中にはたくさんの資格があります。何らかの資格に挑戦したいと思ったら、資格を取るための目的を決めましょう。
2-1 資格を取得する目的をハッキリさせよう
資格を取るためには、通信教育でも独学でもある程度の費用と時間を必要とします。
転職やキャリアアップ、独立開業など何のために資格を取るのか、目標を定めます。
目標が決まったら、現状のスケジュールや費用を考えつつ、必要とする資格取得に向けて情報を集めます。
・キャリアアップ
現状の職場や今の業種でさらなる知識や能力を高めるため資格を取り、自分のスキルを強くするケースです。
例えば、グローバル化が進む世の中では、語学力はあらゆる分野で必要とされる能力です。
特に海外に支店を持つ企業や海外と取引がある企業では、語学力、特に英語力は重要視されるでしょう。
語学力を表す指標として、TOEICやTOFLEが有名ですが、企業によっては、応募時にTOEIC○○点以上を条件として掲げているところもあります。
就職後も、語学学習を続けて語学力を伸ばしていけば、海外赴任や、海外取引との主要メンバーになるなど、キャリアを伸ばして行くことも期待できます。
・異業種へ転職希望
転職を考えた際に、違う職種で働きたいと考えたことはないでしょうか。
異業種へ転職を考えている場合、希望する転職先業種の資格を持っていた方が転職への近道になることもあります。
例えば、接客業をしていた方が、事務系の職種を探す場合、PCスキルについて問われることもあるでしょう。そのような場合に、MOS検定などPCスキルを証明できる資格を持っていれば、自身のPC能力を証明できます。
また事務系の方がIT関連やWEBデザイナーなど、ライフスタイルの変化に応じた働き方がしやすい、専門的な資格を身に着けるという方法もあるでしょう。
収入麺や働き方など、何らかの理由で異業種へ転職を考えている場合は、その分野でどのような資格を持っていると有利なのか、しっかり調べてみてください。
・独立開業
転職やキャリアアップの他に、開業するために資格を取るという方法があります。
将来的に取得した資格で開業を検討している場合は、ただ資格を取ればよいという事ではなく、資格を取ってから、経験や実績などを着実に積んでおく必要が出てきます。
そのため開業準備や開業後の生活なども含めて情報を集めておき、実際に同じ資格を取得した人の状況(企業勤めを続けているのか、開業時期など)について調査しておいた方が安心です。
3 業種別転職時にプラスになる資格
業種ごとに必要な資格は異なります。資格を取ろうと考えた場合、転職やキャリアアップ、開業など、どこを目指すのによって必要となる資格は変わってきます。
資格は難易度に差があり、取得するまでの費用や時間は違いがあります。
ここからは、転職やキャリアアップ、開業などにオススメする資格15選をご紹介致します。
3-1 IT業界
IT業界は慢性的な人材不足のため、採用活動が活発な業種です。
IT分野は、職種により分野が細分化されており、国家資格、ベンダー資格(民間資格)を合わせると多くの資格があります。専門的な知識や能力を必要とされる業種でもあります。
異業種からのIT業界への転職を考えている場合、まずは基本的な資格取得からスタートし、業務内容に応じて徐々に高度な資格へと挑戦していくと良いでしょう。
もともとIT業界にいる方は、難易度の高い資格に挑戦すれば、仕事の幅を広がりキャリアアップにつながります。
・基本情報技術者
ITエンジニアとして、スタートを切る際にまず取得したい資格の1つです。
ITの基礎的な知識と技能、実践的な能力を身につけることを目的とした国家資格です。
情報処理の基礎的な知識を学ぶことで、その後習得する技術の幅が大きく広がるため、ITエンジニアの登竜門とも言われています。
情報処理知識を活かしシステム開発やソフトウエアの設計などを行う業務を担います。
- 合格までに必要な勉強時間の目安:約200時間(初心者)
- 費用(通信教育):3万円~5万円ほど
・ITパスポート
情報技術に関する基礎的な知識や活用力を問われる国家資格です。
試験はPCを使って行われるCBT方式が取り入れられています。
合格率は社会人で60%ほどと難易度は高くなく、IT関連の資格としては、比較的取りやすい資格です。
コンピュータシステムやデータベース、セキュリティーに関する知識があり、問題分析や解決に対する能力のほかAIやIoTなど新しい技術に対する理解度も要求されます。
- 合格までに必要な勉強時間の目安:約150時間(初心者)
- 費用(通信教育):2万円~3万円ほど
・linux技術者認定(Linuc)
Linuc は、NPO法人(LPI-Japan)が実施するLinux認定資格です。
日本も含め海外でも広く認められている世界的な試験(LPIC)を、より日本市場にマッチした内容にし、制定されたベンダー資格(民間資格)です。
日本のOSの約7割がLinuxを導入しており、Linux技術者不足により求人が多く、所持していると転職に有利です。
資格の難易度に合わせ3つのレベルがあります。
基本的な能力を問われるレベル1から、高度な技術力が求められるレベル3まで順次ステップアップしていく仕組みになっています。
勉強時間は、関連資格の保有や実務経験の有無により差があります。
- レベル1の合格までに必要な勉強時間の目安:約100時間(初心者)
- 費用(通信教育):2万円~3万円ほど
・情報処理安全確保支援士
情報処理安全確保支援士の業務は、情報システムの安全を見張るセキュリティーエンジニアとして、サイバーセキュリティーの分析や評価を行い、必要に応じて助言や指導を行う事や、企業な組織対策として安全なセキュリティーシステムの開発や企画、設計などを行います。
試験の範囲が広く内容が高度であるため、難易度は高く、合格率は20%前後です。
- 合格までに必要な勉強時間の目安:約500時間(初心者)
- 費用(通信教育):2万円~9万円ほど
3-2 不動産関係
不動産関係の職場で働く場合、抑えておきたい資格をご紹介致します。不動産業務を行う場合、法律で定められている資格や免許が必要な場合があります。
不動産関係の職場への転職を検討している、キャリアアップを考えている場合は、どのような資格が必要なのかしっかりと調べておきましょう。
・宅地建物取引主士
通称宅建士と呼ばれ、不動産売買を行う仲介業では、法律が定められている国家資格です。各都道府県知事が行う試験に合格し、知事の登録が受理され宅地建物取引士証を受け取ると、晴れて宅建士として業務を行う事が出来ます。
不動産仲介業の独占業務であることと設置義務があるため、社会的ニーズが高く、不動産関連の資格としては人気がありますが、合格率は毎年15%前後と難易度の高い資格なため、独学は難しく、通信講座などで効率よく取得する必要があるでしょう。
- 合格までに必要な勉強時間の目安:約200時間~300時間(初心者)
- 費用(通信教育):4万円~6万円ほど
・管理業務主任者
マンションには、住民で組織されたマンション管理組合があり、マンションの維持や管理を目的としています。
管理業務主任者は、マンション管理会社がマンション管理組合に対し、指導や重要事項の説明といったサポートを行う業務を行っています。
マンション管理会社では、一定数の管理業務主任者を置く義務があるため、ニーズの高い国家資格です。
また宅建士と試験範囲の共通点も多く、ダブル取得する人も多いです。
- 合格までに必要な勉強時間の目安:約200時間~300時間(初心者)
- 費用(通信教育):4万円~8万円ほど
・不動産勘定士
不動産鑑定士の仕事は大きく分けて2つあります。1つめは不動産を適正な価格、適正な利用について判定する専門的な業務を行います。2つめは依頼に応じて土地や建物の価値を判定し、不動産の有効な使い方についてコンサルティングを行う業務です。
土地の利用は、複雑な権利や経済価値が絡むため、専門的な知識を持つ不動産鑑定士の需要は高くなっています。
年合格率は4%~5%で、不動産鑑定士として働くには、不動産鑑定士の試験合格後、1年~2年の実務経験を行い終了考査に合格したのち、各都道府県の不動産鑑定士協会に登録する必要があるなど、専門的な知識を必要とする難易度の高い国家資格です。
- 合格までに必要な勉強時間の目安:約2000時間~5000時間(初心者)
- 費用(通信教育):40万円~70万円ほど
3-3 保険・金融関係
お金や保険に関する業界では専門的な知識が必要とされます。保険・金融関係の資格の難易度はさまざまで、比較的取りやすいものから、難易度の高いタイプのものもあります。
ビジネスシーンではもちろんのこと、日常生活でも活用できるため、こちらの分野への転職やキャリアアップを考えている方にはオススメできる資格をご紹介します。
・ファイナンシャルプランナー
顧客に対し、住居資金や老後資金、子供の教育資金などを中心に、人生におけるライフプランを提案する資格です。
国家資格であるFP技能士1級~3級と、民間資格であるAFP資格とCFP資格があります。
FP技能士は難易度により1級から3級まで分かれており、3級は比較的合格率65%ほどと取りやすい資格ですが、2級以上を目指す方は通信教育などを利用した方が、合格の近道となるでしょう。
- 合格までに必要な勉強時間の目安:約200時間(FP2級)
- 費用(通信教育):4万円~6万円ほど
・貸金業務取扱主任者
賃金業務取扱主任者とは、貸金業が法令を守り、正しく貸金業が行えるよう助言や指導を行う貸金業のプロフェッショナルです。
貸金業を営む営業所や事業所ごとに、法令で定められた人数を配置しなければならない決まりになっており、一定のニーズが期待できる資格です。
合格率は30%ほどで、試験内容は賃貸業の法律に関連する内容が多く出題されます。
- 合格までに必要な勉強時間の目安:約180時間(初心者)
- 費用(通信教育):4万円ほど
3-4 あらゆる業界でニーズが高い資格
特定の業種でだけでなく、持っているとさまざまなビジネスシーンで応用できる資格をご紹介致します。
・日商簿記
企業の経営成績や財政状況を把握するスキル能力を身に付ける事を目的とした資格です。取得していると経理関連部署をはじめ、あらゆるビジネスシーンで応用できるため、人気があります。
階級が1級、2級、3級と分かれており、3級の合格率は60%以上ですが、2級以上になりますと、合格率8%と極端に難易度が上がります。
- 合格までに必要な勉強時間の目安:約70時間~100時間(3級)
- 費用(通信教育):4万円ほど
・社会保険労務士
企業の人事労務全般に関する業務のほか、健康保険や介護保険、年金などいわゆる社会保険関係の手続きや助言などを行う人事のスペシャリストです。
合格率は10%ほどの難関資格ですが、企業に勤めていれば、資格手当や昇給などが見込めるほか、独立開業することも可能です。
- 合格までに必要な勉強時間の目安:約800時間~1000時間(初心者)
- 費用(通信教育):6万円~21万円ほど
・TOEIC、TOFLE
TOEIC、TOFLEは、英語の能力を測定するためのテストのことを言います。
グローバル化が進む社会では、多くの分野で英語力を必要とされており、企業が求める英語力を持っているかを表す指標となっています。
・MOS検定
ExcelやWord、PowerPointなどビジネスシーンで一般的に使われるPCの技能を図るための検定です。
非事務系から事務系業種へ転職を考えている場合、PC能力を聞かれることもあり、MOS検定に合格していると、一定のPCスキルを持っていることが証明できます。
3-5 独立開業に役立つ資格
資格を取得し、ある程度経験を積むと自分で開業できる資格をご紹介致します。
・税理士
税理士とは、経理や財務の専門知識を持つ税務関連のスペシャリストです。法律により、3つの独占業務「税務代理」、「税務書類の作成」、「税務相談」を行えるのは税理士のみと定められています。
企業に勤務し、経理業務や経営サポートなどの業務を担うほか、独立開業して、提携企業に対し、税務関係の業務代行や経営面に対する助言やアドバイスを行うコンサルティング業務行ったりします。
高度な専門知識を必要とするため、合格率は低く13%~15%ほどです。税理士試験11科目の中から5科目選択し、合格後、2年以上の実務経験が必要です。
- 合格までに必要な勉強時間の目安:約3000時間(平均)
- 費用(通信教育):25万円~75万円ほど
・公認会計士
会社の経営状況を表す財務諸表の作成や、内部統制報告書の監査などを行う監査業務と税金に関する業務を行うことが出来る国家資格です。
専門的な知識を必要とするため、合格率は税理士と同じくらいで11%~13%ほどです。
- 合格までに必要な勉強時間の目安:約2000時間~5000時間
- 費用(通信教育):30万円~80万円ほど
4 まとめ
今回は、持っていると転職やキャリアアップに有利となる資格と、資格取得のメリットや選びのポイントについてご紹介しました。
資格の種類によっては、経験を積み、独立開業の足掛かりにもつながります。
ただし、資格を取得するには、多くの時間や費用が掛かることも覚えておきましょう。
将来に向けて何か資格を取りたいと考えている人は、記事を参考に自分に合った資格を探してみてください。